上尾市二ツ宮 ひかわ幼稚園

当園の特色

絵本の会

図書室

ひかわ幼稚園には、7,000冊の蔵書を誇る図書室があります。
この図書室は「子どもたちに心から経験させたい絵本だけを集める」ことを目標に、初代園長と 当時在園していた保護者が、児童文学作家・編集者の斎藤惇夫先生と共に何度も勉強会を重ねて作り上げました。

子どもたちは毎週2冊の絵本を借りて帰ります。
じっくり時間をかけて歩き回り何冊も取り出して選ぶ子、図鑑の棚に一直線の子、「この本お家にある!」と嬉しそうにバッグに入れる子、様々です。
図書室の本は保護者にも貸し出しています。大いにご利用ください。

配本

多くの良い絵本の中でも、幼児期に特に出会ってほしいと考える絵本を選んでリストを作っています。
年少・年中・年長それぞれ毎月1冊、3年間で36冊のリストです。
毎月このリストの絵本をご購入いただき、1か月間クラスでたくさん読み親しんだのち、持ち帰ります。(既にお持ちの方、中古等で入手可能な方は、購入の必要はありません)
子どもは絵本を何度も読む(読んでもらう)ことを通じて、主人公の体験を自分のものとして感じ、心の冒険を繰り返します。
素晴らしい絵本は子どもにとって「素晴らしい体験」であるのです。

絵本の会

ひかわ幼稚園では、斎藤惇夫先生をお迎えして年に4回『絵本の会』で講演して頂いています。 世界の名作絵本の名訳者や名画家と直接関わってこられた先生だから、その視点や経験から 繰り出される専門的な絵本の見方には、とても面白味を感じて耳を傾けてしまいます。 その為、講演を聞くたびに絵本の奥深さに魅了されています。

この『絵本の会』は、事前に課題図書を読み聞かせて提出された子どもの感想をベースに 行われています。

絵本の会は、どなたでも参加できます。小さなお子さん用の スペースもあります。 絵本の印象が変わりますよ!ぜひ、ご参加下さい。


斎藤惇夫先生紹介

福音館で童話の編集に長年携わり【クマのプーさん】や【ちいさいおうち】を訳された石井桃子さん、 【おだんごぱん】に【三びきのやぎのがらがらどん】を訳された瀬田貞二さん、【ぐりとぐら】の 中川季枝子さんなど日本における絵本の世界を作り上げてこられた方々と共に、編集者として 深く親交された方です。

斎藤先生ご自身も児童文学作家として 【グリックの冒険】・・・日本児童文学者協会新人賞受賞 【冒険者たちガンバと15ひきの仲間】・・・国際児童年特別アンデルセン賞優良作品に選出 【ガンバとカワウソの冒険】・・・野間児童文学賞受賞・国際アンデルセン賞優良作品賞受賞 これらを三部作として執筆し『ガンバの冒険』の題でアニメ化されました。 小さい頃ご覧になられた方も、多くいらっしゃると思います。

1976年からは、劇団四季により『ガンバの大冒険』(以前は『冒険者たちガンバとその仲間』) というタイトルで繰り返し上演もされています。

ガンバ

斎藤先生より

人が本を好きになるかどうかは、その人が幼い頃にどんな本と出会うことができたか ということにかかっています。

つまり幼稚園の時代にどんな絵本を親に先生に読んでいただいたかということが、一人の人間の 読書の方向を定め生き方を決めていく大きなポイントになります。

この講演をはじめとして続く絵本の会では、具体的に幾冊かの絵本を丹念に見ることによって、優れた 絵本の優れたポイントを探ってゆきます。

3回の機会しかありませんが、充実させていきます。

絵本の会

斎藤先生へ質問

Q.1漫画(コミック)との付き合い方をどうすべきか決めかねています。
A.1私自身も沢山読みました。どんな本でも良いんじゃないでしょうか。 基本的に、物語が人間の捉え方の深さや形がきちんとあるから、安心して子どもが物語の世界に 入れる『昔話』を沢山低学年までに、徹底的に読んであげれば大丈夫。 耳から心の中に入っていれば、防波堤になります。
Q.2【もけらもけら】の『じょわらん じょわらん』という所が絵と共に怖い表現になっており 子どもが本気で「イヤだ!」と言います。親としては読みたいのですが・・・?
A.2それは、お子さんに従って下さい。絶対にお子さんの方が優れていると思いますよ。 詩を経験するためには良い本です。 今は、その音の響きがお子さんの感覚には合わないのだろうと思います。 繰り返し「読んで」という本を中心として読むのが基本です。
Q.3英語の本も読み聞かせる事があるのですが 子どもにとっては、日本語の本と英語の本は変わりありますか?
A.3変わりあります。子供の中には、日本語で物語を入れてやって欲しいです。 子どもの頭が混乱するだけなので、日本語で物語を入れてあげたいのです。 ただ、お子さんが帰国子女など英語で生活をしている場合などは英語で読んであげるのも良いです。
Q.4自分が読んでいた絵本と新しい版とで言葉が違う絵本があるのですが。
A.4【おだんごぱん】は、当初「つんぼ」と訳してありましたが、 あるお母様から素晴らしいお手紙を頂き「つんぼ」という言葉を再考願えませんかと言われました。 訳者の瀬田さんと相談して、その通りだと考えようということになりました。 なので新しい版の方が、きちんとした訳になっていることが多いです。
Q.5読み聞かせの本は、子どもに選ばせた方が良いのでしょうか?
A.5基本的には親と子どもが一緒になって選ぶのが良いと思います。 アメリカなどの優れた図書館は、母親は絶対一緒に入れません。 教育したいなどの邪念を排除するためです。子どもに選ばせつつ、3割は親が選ぶのが大切です。
Q.6絵本を眺めるのに夢中で、物語を聞いていないです。 聞いていれば分かるようなことを質問してきます。
A.6絵本を読んでもらいながら、しゃべってくる子どもには2パターンいます。 1つは、その絵本の内容が分からなかった場合。もう1つはお母さんに会話を求めている場合です。 どちらなのかなと考えて読んでやるべきです。 何かを語りかけようとしているのなら、本を読むことを中座してでも良いから子どもの言うことを 一生懸命聞いてやるべきです。それから絵本に戻ると良いでしょう。
Q.7夏休みの読書感想文コンクールの課題図書の選定基準は?一度読んでおくべきでしょうか?
A.7世界で読書感想文を書かせるのは日本だけです。 読書感想文を思いついたのは広告代理店です。本を売るための策略です。 課題図書は前年度出版された本の中から、感想を書きやすい本が選ばれています。 子どもたちに読んでほしい本とは言えません。 読書感想文の宿題から本嫌いになってしまうと懸念しています。
Q.8本が好きということと、成績は関係ありますか?
A.8間違った方程式です。 本が好きだからといって、成績とは全く関係ないです。 その子が本を読んだことに対して、どれだけ自分の一生を豊かに出来るかということです。
Q.9小学校の図書館の現状をどう捉えていますか?
A.9地域によって格差があります。 新潟市は今から40年前に、各小学校に司書が配属されました。中学も高校も同じです。 現在、新潟市の小学校に行くと、ひかわ幼稚園より3倍くらい(100倍かも!) 素敵な本がいっぱい揃っています。司書は、年に7時間の講義を4回受けています。 そんな司書に周りの教師も導かれ、4年生までの担任はよく子どもたちに本を 読むようになりました。 民主主義というのは、個々の力が集まって社会を変えていくものです。 だから、やりださなくちゃいけない!口に出した以上は・・・。
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